| 放送大学図書館所蔵「ちりめん本コレクション」 |
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このHPは放送大学図書館のご協力により作成されたものです。
参考文献:放送大学図書館所蔵目録「ちりめん本ー長谷川武次郎とちりめん本の歴史」
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外国人達を魅了した「ちりめん本」とは |
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「ちりめん本」--この言葉を聞いて布装幀の本を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。この「ちりめん本」、確かに素材感はちりめんの布地にそっくりですが実は立派な和紙。身近なところでファンシーペーパーの一種、クレープ・ペーパーをイメージしていただければわかりやすいと思われます。時は開国間もない明治時代、未知の島国、日本にやってきた外国人にとって、着物の生地を思わせるような素材感をもち、日本の昔話や風俗などを題材にした多色木版画刷りの絵入本は格好の土産となりました。ヨーロッパ本土のほうでも、浮世絵をはじめとしたエキゾチックな日本文化が大流行しており、日本文化が凝縮された「ちりめん本」は大変な人気をよび、各国語に訳され、輸出や国際共同出版までされるようになりました。
こうした外国人向けの絵入り草紙、「ちりめん本」出版の発起人は長谷川武次郎と言う人物でした。彼はペリーの黒船がやってきた1853年(嘉永6年)江戸に生まれました。江戸時代始まって以来の混乱期に青年期をすごした彼は、先見の明をもっていたのでしょうか、英語を取得することがこれからの日本人には必要と考えて英語を学び始め、さらに近代商業についても興味をもち、貿易や出版に関する知識を習得していきます。こうして文明開化のただ中にあって、海外に目を向けていた武次郎は、江戸時代からつづく浮世絵にちりめん加工をほどこしたちりめん絵が、外国人に大変人気があることを知り、外国人向けの土産物としてこれを改良して販売しようと思い立つのです。こうして開発された武次郎の縮緬本は明治1886年(明治18年)から弘文社より刊行され始めます。
ヨーロッパでも高い評価を受けた、江戸の浮世絵の流れを汲む絵師たちの下絵、世界でも有数の技術であった多色木版刷、日本の伝統的な紙文化が誇る和紙、そしてそれを見事にちりめん状にする特殊な加工・・・。実物を見ていただくと、大変美しく精巧な絵本であることがおわかりになることでしょう。こうした江戸の匠達が持っていた技術の結晶のような本が生まれたのも、鎖国が解かれ、外国人達が来日したためということは大変興味深いことです。さらにローマ字を創始したJ.C.ヘボン、日本古典文学研究の大家B.H.チェンバレン、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンなど当時の高名なジャパノロジスト達が訳を担当しており、「桃太郎」「舌切雀」「猿蟹合戦」といった私たちが子供の頃から慣れ親しんできた絵本が、高度な異文化交流の形となった大変な出版物なのです。
こうしたちりめん本の持っている高い文化性から、放送大学附属図書館では「ちりめん本コレクション」として縮緬本を収集、展示会などで公開してきました。今回は放送大学にご協力頂き、そのコレクションのうち珍しいものをいくつか抜粋してご紹介いたします。
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いろいろな桃太郎―日本昔話は桃から生まれる? |
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放送大学ではちりめん本英語版、仏語版、西語版、葡語版、独語版、平紙本英語版、独語版を所蔵しています。さらにちりめん本英語版では、初期版、後期版、大判の3種類を所蔵。ちりめん本英語後期版、仏語版、西語版、葡語版の4点は刷り色、題字等の違いはありますが、ほとんど同じ版を使用していることがわかります。またそれらと独語と英語の大判は多少背景の違っている版を使っています。英語の初期版は全く違う構図。より外国人達のニーズにこたえるために改訂したのでしょうか。
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桃太郎 英語後期版
Momotaro or, Little Peachiling
明治18年発行
訳者:ダビド タムソン
サイズ:158×106mm
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桃太郎 仏語版
Momotaro ou,
Le premier-né de la pêche.
明治18年発行
訳者:エブラル
サイズ:153×103mm
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桃太郎 西語版
Momotaro.
大正3年発行
訳者:エスバダ
サイズ:151×102mm
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桃太郎 英語後期版を読む [PDF]
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桃太郎 葡語版
Momotaro.
Ou o Primogenito do Pecego.
訳者:Campos,J.E.de
大正4年発行
サイズ:152×105mm
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桃太郎 独語版 大判
Momotaro oder, Pfirschling
昭和6年発行
訳者:カール フロレンツ
サイズ:194×137mm
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桃太郎 英語初期版
Momotaro or, Little Peachiling
明治18年発行
訳者:ダビド タムソン
サイズ:151×96mm
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舌切り雀から花咲爺まで―日本文化の玉手箱 |
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日本人なら幼少から慣れ親しんできた基本の日本昔話の絵本。しかし、狩野派の浮世絵師、小林永濯の「舌切雀」など、リアルな表現や図版の構図、考え抜かれた多色刷りには子供向けの絵本とは一線を画しています。
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舌切雀 ちりめん本英語後期版
The Tongue Cut Sparrow.
明治18年発行
訳者:ダビド タムソン
サイズ:153×101mm
作画:小林永濯
正直な老人夫婦が雀に恩返しされ、欲張りな老人夫婦がこっぴどく罰があたってしまう。今日では正直爺さん、意地悪婆さんのセットだが大正時代は正直な夫婦、意地悪な夫婦というバージョンも一般的であった。雀達の描写といい、老夫婦といい細部まで細かくリアルに描かれている。 |
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猿蟹合戦 ちりめん本英語後期版
Battle of the Monkey and the Crab.
明治18年8月17日第1版発行
訳者:ダビド タムソン
サイズ:153×103mm
仇討ちが制度化されていた武家社会にあって猿蟹合戦は今よりもずっとメジャーなおとぎ話であったらしい。浮世絵諸派の絵師や大名おかかえの御用画家たちは意地の悪い猿を一家団結してこらしめるこの話を多く絵に残している。この表紙左下の白い坊主頭は卵。明治以降は栗がとってかわるようになるが、近世ではたまごが主流であった。 |
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花咲爺 ちりめん本英語後期版
The Old Man who made the dead trees blossom.
明治18年発行
訳者:ダビド タムソン
サイズ:153×103mm
花咲爺のおとぎ話の構図は既に近世中期に定着していたが、この表紙構図もまさに浮世絵的である。この花咲爺のちりめん本は現存する実例が多く、盛んな売れ行きがあったことがわかる。正直な老人に死んだあとも幸福をもたらすという忠犬のテーマは外国人たちにも容易に受け入れられたことが窺える。 |
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職人技の怪物画―化け物よりも絵師の執念? |
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浮世絵のテーマに幽霊や化けものをテーマにしたものが多くあるが、その迫力はちょっと世界でも類をみないのではないでしょうか。ちりめん本でもそうした浮世絵師たちの伝統的なばけもの好きが垣間見られます。他の絵よりも一層力がはいっているように感じられませんか。
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羅生門 ちりめん本英語後期版
The Ogre's Arm.
明治22年発行
訳者:ヂェイムズ夫人
サイズ:153×104mm
源頼光とその家来が今日の京の羅生門界隈に出没する鬼を退治する話。よく見るとタイトル枠から鬼が顔を出している、遊び心のある表紙である。 |
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大江山 ちりめん本英語後期版
The Ogres of Oyeyama.
明治24年発行
訳者:ヂェイムズ夫人
サイズ:153×103mm
源頼光とその家来が羅生門の鬼を徹底的に退治しようと大江山に向かうという羅生門の続編。この鬼の迫力はさぞかし欧米人の目を惹いたことだろう。
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文福茶釜 ちりめん本英語後期版
The Wonderful Tea-Kettle.
明治29年発行
訳者:ヂェイムズ夫人
サイズ:153×104mm
文福茶釜もなにやら怪談めいた様相に・・・?構図は横でほぼ半分に切り、中央より左側にモチーフを微妙にずらせている。西洋絵画ではあまり見ない構図である。茶釜の箱に題字を入れている発想がおもしろい。 |
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八頭の大蛇 ちりめん本英語後期版
The Eight-Headed Serpent.
明治19年発行
訳者:Basil Hall Chamberlain
サイズ:153×103mm
作画:小林永濯
色使いこそ地味であるが、炎の赤のアクセントが全体を引き締めて緊張感がある。一頭一頭丁寧に描き込まれた八頭の大蛇の表情の違いに注目してもらいたい。 |
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ちりめん本英語版大判 化け蜘蛛
幽霊を半分にして真正面に配置するという大胆な構図。寺に住みついた化け蜘蛛が半身だけ人間に化けて退治にきた侍を誑かそうとする話。破れ提灯、洗い髪と化け物の基本だが、笑っている表情にどことなく愛嬌があるような・・・。
The Coblin Spider.
刊行年 詳細不明
訳者:Lafcadio Hearn
サイズ:191×135mm
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ちりめん本の廉価版―ちりめん本と平紙本― |
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ちりめん本はご紹介したように和紙に特殊加工を施したものであるが、同じ版木で刷ってもこの特殊加工をしない平紙本も普及していました。さらにその版を多色刷りではなく一色で刷った茶表紙平紙本も作られていました。この表紙に簡単な題箋を貼っただけの綴じ本は主に国内で教科書として使われていたようです。ちりめん本、平紙本、茶表紙平紙本の三種類の版を「舌切雀」で見比べてみて下さい。
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ちりめん本英語後期版
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平紙本独語版
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茶表紙平紙本独語版
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The Tongue Cut Sparrow.
明治18年発行
訳者:ダビド タムソン
サイズ:153×101mm
作画:小林永濯
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Der Sperling mit der
geschitzen Zunge.
明治18年8月17日印刷
訳者:ドクトル ア、グロート
サイズ:184×127mm
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Der Sperling mit der
geschitzen Zunge.
明治18年8月17日印刷
訳者:ドクトル ア、グロート
サイズ:184×127mm
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カレンダーも縮緬細工で大人気 |
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絵本だけではなく本の文化や風俗を次々に世界に紹介した暦やカレンダーも外国人に好評でした。判型も色々とあり、作りも大変凝っていて精巧だったようです。おそらく日本土産にはうってつけだったのでしょう。
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英語版 Calender for 1905
サイズ:138×139mm
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英語版 Calender for 1927
サイズ:132×33mm
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英語版
The Months of Japanese Ladies.
Calender for 1903
サイズ:176×127mm
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蘭語版 Almanak voor 1903
サイズ:107×78mm
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英語版
Moonlight Scenes of Japan.
Calender for 1934.
サイズ:192×132mm
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雄松堂書店 「ちりめん本」在庫商品
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1. 日本昔噺第10号 ヂェイムズ夫人訳「松山鏡」 明治19年(1886年)
発行者:長谷川武次郎 京橋区日吉町十番地
James, Mas. T. H.
The Matsuyama Mirror. (Japanese Fairy Tale Series No.10)
15.3 x 10.3 cm.
\50,000(税込み)
状態良好 |
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2. 日本昔噺第19号 ヂェイムズ夫人訳「大江山」 明治24年 (1891年)
発行者:長谷川武次郎 下谷上根岸十七番地
(James, Mrs. T. H.)
The Ogres of Oyeyama. (Japanese Fairy Tale Series No.19)
15 x 10.2 cm.
\40,000(税込み)
表紙が傷んでいます。裏表紙にシミがあります。中身の状態は良好です。
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3.「日本人の生活と風景」 明治28年(1895年)
発行者:長谷川武次郎 日吉町十番地
Japanese Pictures of Japanese Life.
19.5 x 15 cm.
\100,000(税込み)
表紙と裏表紙に少々シミがあります。
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4.「1900年のカレンダー」 明治32年(1899年)
発行者:長谷川武次郎 京橋区日吉町十番地
Calendar for 1900.
11 x 8 cm.
\40,000(税込み)
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5.「日本の情景−1902年のカレンダー」 明治31年(1901年) 再版
発行者:長谷川武次郎 日吉町十番地
Rhymes & Life Scenes of Japan. Calendar for 1902.
15.5 x 10 cm.
\55,000(税込み)
表紙にシミがあります。裏表紙に書き込みがあります。中身の状態は良好です。 |
上記商品は雄松堂古書部が在庫しています。ご興味がございましたらお気軽にこちらまでお問い合せください。
又雄松堂ヴァーチャル展示館ではその他「ちりめん本」を展示・販売しております。そちらも合わせてご利用下さい。

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