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マルコムX事典


マルコムX事典(表紙) マルコムX事典 ―アメリカの人種問題を理解するために―
ロバート・L・ジェンキンズ 編著
エムファニア・ドナルド・トライマン 編集協力
荒このみ 訳
菊判 上製クロス装 482頁 2008年8月刊 ISBN 978-4-8419-0500-7
定価10,500円(本体10,000円+税5%)

 2008年のアメリカ大統領選挙は歴史に残る出来事となった。アフリカン・アメリカンのバラク・オバマ氏が長く激しい闘いのすえ、最終的に勝利した。この間のTV放送や新聞、雑誌に報道された大統領選指名獲得レースおよび大統領選挙のニュースを通じて、アメリカ社会の抱える人種問題という怪物の姿の一端が垣間見えたといえよう。
 オバマ氏の力強い勝利演説のなかで、106歳のアン・ニクソン・クーパーさんの逸話は感動を呼んだ。奴隷制度時代のわずか一世代後に生まれた黒人女性である彼女が、困難な人生を歩んできたであろうことが想像に難くない。オバマ氏は、演説のなかでこう語った。彼女は、黒人解放の契機となったアラバマ州モントゴメリのバスボイコット運動も、警察がデモ隊を消火ホースによる散水で抑圧しようとした同州バーミングハムのホースも、参政権を求める黒人が州警察などに暴行を受けた同州セルマの橋も、知っているし、アトランタから来たキング牧師の「我々は勝利する」という言葉も聞いた。
 ここに語られた、アメリカ社会における複雑な人種の状況、人種問題の歴史的展開などを理解せずに、アメリカ社会を知ることはできない。

 マルコムX(1925-1965)は、父親アール・リトルと母親ルイーズ・リトルの黒人解放運動への情熱を引き継いだ。盗みの罪で服役中、ムスリムに入信する。出獄後、急進的黒人解放運動の指導者となり、貧しく抑圧された黒人層の支持を得る。後に、アフリカの黒人との連繋を模索し、人種問題を広く人権問題として把握しはじめたときに銃弾に倒れた。この伝説的黒人解放運動指導者の人生は、後に『ルーツ』を著すアレックス・ヘイリーが『マルコムX自伝』(1965)にまとめ、1992年には、スパイク・リー監督により映画化(『マルコムX』)されている。

 本書は、マルコムXの生涯と思想を探ってアメリカの人種問題理解を深めるために好適な一冊である。
 内容は、第一部、研究者による11の論考、第二部、項目・人名事典からなる。マルコムXの生涯と周辺の人物、公民権運動、暗殺、パン・アフリカニズム等、515の項目を含む。

<項目例>
ムハマド・アリ(カシアス・クレイ) ジェイムズ・ボールドウィン フィデル・カストロ W・E・B・デュボイス メドガー・エヴァース アレックス・ヘイリー タルマッジ・へイヤー ビリー・ホリデイ ヒントン・ジョンスン(ヒントンX) マーティン・ルーサー・キング・ジュニア ジェイムズ・メレディス イライジャ・ムハマド クワーミ・エンクルマ シドニー・ポワチエ アンドルー・ヤング エメット・ティル 1964年の公民権法 アンクル・トム クー・クラックス・クラン(KKK) コインテルプロ(反情報計画) ネイション・オブ・イスラム バーミングハム16丁目バブティスト教会の爆破事件 ハーレム家賃ストライキ パン・アフリカニズム ブラウン対カンザス州トピカ教育委員会 ブラック・パワー フリーダム・サマー ミシシッピ・フリーダム民主党(MFDP) ユニヴァーサル・ニグロ向上協会(UNIA) ワシントン大行進 暗殺陰謀説 学生非暴力共同委員会(SNCC) 警察暴力 公民権運動 黒人研究運動 選挙権か弾丸か 自己防衛のためのブラック・パンサー党 全米有色人種向上協会(NAACP) 草の根へのメッセージ アフロ・アメリカン統一機構(OAAU) 投票権法(1965年) 北部ニグロ草の根指導者会議 全国黒人地位向上協会 その他

書籍画像:地域マネジメントと起業家精神

図書新聞2008年10月4日号(2888号)に紹介されました。

本書訳者荒このみ先生が、小社刊行「トニ・モリスン事典」でトニ・モリスン学会翻訳賞を受賞されました。

■関連エッセイ(Net Pinus72号)
アメリカ大統領選挙、民主党候補者争いを観て−バラック・オバマとマルコムX
東京外国語大学教授 荒このみ氏
 

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